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「LoRaWAN関連情報」

LoRaとLoRaWAN

一般に、環境情報センシングからそのモニタリング・分析までの流れを情報通信インフラとして捉えたとき、センサターミナルからインターネットへの無線データ伝送では、伝送帯域の広狭・伝送距離の長短によって、下図の代表的な3種類の伝送モードが使われる。図中、LoRa(Long Range) は、Wi-Fi、Bluetooth、セルラー通信よりも低い周波数帯域幅の電波で、広範囲での通信を可能にする伝送技術として位置づけられる。また、LoRaは、ライセンスフリーで動作する無線データ転送技術でもある。

そして、LoRaをベースとしたネットワーク、Long Range Wide Area Network(LoRaWAN)は、主にIoTセンシングデータなどの小容量のパケットを省電力・低速で送信する通信1プロトコルであるため、農業などの一次産業を含む各種産業分野での展開事業など、次世代のIIoT(Industrial Internet of Things)利用において大いに期待されている。

下図は、一般的なLoRaWANネットワークアーキテクチャの基本構成図であり、本事業では、このようなLoRaWANベースのIoTネットワーク構築におけるICTモデルの統合化を目的としている。データフローにおいては、センシングデバイスとクラウド層間のフォグ層にゲートウェイ (Gateway)を配置して、LoRa通信プロトコルからTCP/IPプロトコルへの変換及びトラフィック整理がなされ、高帯域通信プロトコル(Wi-Fi, Ethernet, 4G…)を介してクラウド層・ユーザー層へ送られて、モニタリングや種々のデータ解析が行われる。

LoRaWAN導入の利点

LoRaWANがエリア全体に配備された場合、以下のような利点がある。

  • 長距離通信が可能
    • LoRaWANは、条件次第では、都市部では最大5km、地方では最大15km以上のIoTデバイスとゲートウェイ間の長距離通信を提供できることから、広範囲のセンサデータの収集が可能となり、山間部や農村地帯など、従来通信が難しかった地域でもスマート農業実現の可能性が高まる。
  • 低電力・低コストでのネットワーク構築が可能
    • LoRaWANでは、低電力で長距離データ送信を行うため、バッテリー駆動のセンサターミナルでもバッテリー交換の頻度は低く、長期間での運用が可能となる。また低電力・低速度の通信方式を採用しているため、従来の高速通信に比べて、エネルギー効率とコスト効率に優れた通信インフラの構築が可能となる。
  • 用途の多様性
    • LoRaWANのサブGHz帯は、スマートシティ/ビレッジにおける災害時の情報収集や防災・減災、医療・福祉分野など、様々な用途での利用が期待できる。また、LoRaWANでは汎用性の高いプロトコルのため、多様なデバイスやセンサを統合することができる。
  • 最適なセキュリティ対策
    • IEEE 802.15.4無線通信セキュリティに基いて認証・登録された端末のみがLoRaWANに参加でき、更なるセキュリティ向上のため、ペイロードはAES-128CTRモードで暗号化され、改ざんチェックのためのキーをAES-128 CMACアルゴリズムで計算する等、これらの対策により、アプリケーション層での余分な暗号化や追加セキュリティの節約が可能で、コスト・電力・複雑さが軽減されるというLoRaWAN特有の長所を維持しながら、最適なセキュリティ対策を提供している。
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