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「スマートビレッジ事業」

LoRaWAN パイロットプロジェクト

D-Labでは、ドイツ・ベルリン市内在住の組合員により、ベルリンが世界でも有数のLoRaWANシティでもあることから、パイロットプロジェクトとしてのケーススタディ(ベルリントライアル)を現地において実施し、得られた経験・ノウハウを参考にしながら、日本国内のスマートビレッジに向けたLoRaWANモデル構築に取り組むという方略をとった。そして、LoRaWANを活用したスマートビレッジ構想の一環として、二つのケーススタディ(「スマート農業」および「GPSトラッキング」)をベルリン市内にて実施。

  • ケーススタディ1(スマート農業)
    • 下図は、スマート農業を想定したスマートガーデンIoTネットワークアーキテクチャ構成図である。センシング層とフォグ層を繋ぐ通信には、Heliumホットスポットを経由したLoRa通信を用いている。センシング層ではLoRa通信対応のモジュールを主体に、温湿度センサ、土壌水分センサなどを使用。現時点では、シンプルかつ安価なセンサデバイスやLoRa通信デバイスを用いているが、スマート農業の実用化においては、高度なセンサ群の使用を考慮する必要がある。また、土壌水分値によって、自動で給水する簡易灌漑システムを構築した。更に、データ解析とモニタリングを行うクラウド層にて、Heliumが提供するウェブベースのデバイス管理ツール(Helium Console)にてGoogle Cloud API と統合し、Google FormsおよびGoogle Sheetsを使い、HTTPプロトコル経由で、Helium ホットスポットを介して収集されたセンサデータ(温湿度・土壌水分値等)を蓄積し、オープンソースダッシュボードツールGrafanaを活用して蓄積データの可視化を試みた。Grafanaで可視化されたダッシュボードをユーザー(またはクライアント)に提供する形を採用している

今後の事業展開

LoRaWANパイロットプロジェクトから得た知見・ノウハウや新たな課題に基づき、D-Labでは今後、更なる事業展開を進める予定です。具体的には、次のようなことを行います。

  1. 汎用センサターミナルの整備
    • 任意のセンサモジュールを接続して利用可能な汎用センサターミナルの設計・モジュール化に着手。
  2. LoRaネットワークの整備
    • モデルとする西原村でのHeliumホットスポット設置密度をどの程度に設定するか。Gateway設置のコストと多重化の利点(ベルリントライアルで確認したデータ取得の安定性・安全性)の両者を勘案しながら進める。なお、整備にあたっては、個人ベースだけでなく、組合や企業体などの団体、そして自治体(村)レベルでの協力を依頼する予定。
  3. 通信プロトコル変更
    • これまでの HTTP通信プロトコルに比べ、IoT業界でも採用が増えているMQTT通信プロトコルは軽量であり、消費電力が抑えられ、通信量やCPU使用率なども削減でき、更にネットワークが不安定な場合や非同期に双方向の通信が可能という利点が多いためMQTT通信プロトコルへの変更を検討。
  4. クラウド層の整備
    • クラウド層の拡張性・柔軟性・費用対効果などを考慮し、コンテナ型仮想化プラットフォームをベースとしている オープンソフトウェアDockerをLinux(Ubuntu Server)にインストールする方式を採用する予定。これにより、ソフトウェア・アプリケーション(MQTT、InfluxDB、Node-red、Grafana)を容易にデプロイでき、OS関連のリソース負荷が軽減され、サーバ負荷を減らすことに貢献できる。
  5. データベース整備
    • Google SheetsのようなリレーショナルDBでは、収集された膨大なタイムスタンプを持つ時系列データのリアルタイム処理も困難であるため、今後はIoT業界でも採用例が多い時系列DBの利用を検討。時系列DBは、データ記録の連続性やデータアクセスの機能性、蓄積データからの将来データの分析や予測も容易になるなどの利点が多い。さらに、 高速性・利便性・圧縮度などの諸条件を満足するDBの代表格として、「InfluxDB」を採用。
  6. アラート機能の追加
    • Node-REDを通じ、センサーの読み取り値が特定の基準値を上回ったり下回ったりした場合などにEメールや他アプリに通知するアラート機能や、読み取り値を定期的に送信する機能などを今後採用予定。
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